金四郎の妻ですが2 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社 (2020年1月17日発売)
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本棚登録 : 118
感想 : 11
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遊び人時代の遠山金四郎と『押しかけ女房見習い』のおけいが事件に遭遇するシリーズ第二作。

今回はおけいが幼い頃から仕えてきた彩が登場。かなり強烈なキャラクター。金四郎のことを悪し様に罵るがおけいの金四郎を思う気持ちは尊重している。
商家の娘だということで金四郎とおけいが居候している船宿の商売を盛り立てるし言うことなすこと厳しいがそつがない。
彼女の登場を楽しめるかどうかがシリーズを楽しめるかどうかにも繋がりそうだ。

この第二作は金四郎の良いところがあまり感じられなかった。
彩が言うように借金を重ねて遊び回るだけのように見える。おまけに賭場で出会った初対面の男に、頼まれるがまま借金の請け人になるなんて軽率極まりない。
お金だけの問題なら金四郎の実家にもおけいの実家にも泣きつけば良いだろうが、相手がもっと悪いことを考えていたらどうするのか。

その男は王子で天ぷら屋をやりたいらしく店を借りた(借金はそのため)らしいが、当時の天ぷらとは今で言うジャンクフード扱いで、屋台で気楽に食べるならともかくわざわざ高いお金を払って専門店に来る酔狂な客はいないらしい。
そんな閑古鳥の店を何とかしないと金四郎は莫大な借金を背負うことになるのだが、さて。

途中、狐に化かされて天ぷらを食べさせられて追い剥ぎに遭うという奇怪な事件が出てきたり、おけいと彩がお悩み相談商売の助っ人をしたりという話もあるが、特に盛り上がりはなし。
最後の天ぷら対決と言い、彩のお助けアイデアばかりが光ったように見える。

相変わらずおけいの世間ずれした感覚が可愛らしい。
同じ串の団子を食べただけや同じ布団にくるまっただけで夫婦としての関係が深まったと思ったりして金四郎を慌てさせる。
しかし少しずつ二人の距離は近づいているようにも見える。

次回こそ将来のお奉行様の片鱗を見せて欲しい金四郎だが、どうなるだろう。

※「金四郎の妻ですが」レビュー
https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/439634550X#comment

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説 ドラマ
感想投稿日 : 2021年3月10日
読了日 : 2021年3月10日
本棚登録日 : 2021年3月10日

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