本書が世に出た時期から察するに、出版業者が乱立し、悪筆を振るう輩がたくさん沸いて出たのだと思われる。ショウペンハウエル氏が指す「古典」や「良書」が愛された古き良き時代とは、人類の英知や歴史を後世に残すための本が、お金と権力を持つ者の手によって大切に残されていた頃のことではないだろうか。ところがショウペンハウエル氏の時代では、誰でも望めば本の出版が可能になり、一攫千金狙いの執筆者や、悪書が溢れかえってしまった。そして、その状況に憤慨している様子がひしひしと伝わる。ショウペンハウエル氏の言葉は過激な表現も含まれるため、一部分だけを切り取ってしまうと、まるで違う意味になってしまう。彼が本当に伝えたいことは何なのか、本質を見極めながら読むことが求められる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
岩波書店
- 感想投稿日 : 2020年5月10日
- 読了日 : 2020年5月10日
- 本棚登録日 : 2018年11月18日
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