我輩は施主である (中公文庫 あ 11-3)

著者 :
  • 中央公論新社 (2001年1月1日発売)
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感想 : 9
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赤瀬川原平名義なのでエッセイだと思って読んでいたら、実は小説なのだという。一人称の主人公はA瀬川源左衛門。

F森教授やらM伸坊やらでてくるのだが、あくまでも、小説なのだという。でもたんぽぽハウスにしてもニラハウスにしても、実際にちゃんとつくった建物らしいし。この「小説」の主人公は施主である我輩だが、なんといっても魅力的なのは設計を担当するF森教授である。

近代建築について、都市について、緑化について。講義ぜひ受講してみたい。いい意味で「野蛮人」とよばれる男。決断が早くて豪快、かつ、美意識は繊細。いいな。
でも酒の席ではあんまり一緒になりたくないかも。

この「小説」なんといってもテンポがよい。家を建てる土地を探すとなって、なかなかよい物件がみつからない段階でも、実際のところは徒労感で暗くなりがちなんだろうが、ユーモアたっぷりでおもしろいし、まぁ実際には家をたてるところまでいくという事実を知っていて、そこから遡って読んでいることからも気楽な感じを手伝っているのかもしれない。

比喩の暴走っぷりも楽しい一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: my library
感想投稿日 : 2015年8月26日
読了日 : 2015年8月25日
本棚登録日 : 2015年8月19日

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