にいさん

著者 :
  • 偕成社 (2008年3月1日発売)
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本棚登録 : 367
感想 : 63
5

 兄・ゴッホと弟・テオの物語。
 しかし、兄弟は成長するにつれて夢と生活の狭間で揺れ動き、片やその柵から繊細かつ孤独な画家として、一方は兄の作品を取り扱う画商としての物語ともなっていく。
 弟・テオの視点で話は進んでいくが、互いへの愛情と依存、憧憬と軋轢を、文字だけではなく絵柄で見事に表現している大人向けの絵本。

 さて、ゴッホと言えば、やはり「向日葵」の印象が強過ぎるのか、そのイメージは目に鮮やかと言うよりは、まるで目を刺すかのように強烈な黄色である。
 しかし、黄色(表紙参照)よりも、著者の描く鮮やかで深みのある青が、他の色彩よりも印象的。話者がテオであるが故か?
 蒼穹、あるいは深海にも思える青は、己が信念を貫く才能溢るる画家としての兄への憧憬か、はたまた周囲との軋轢に苦しみ、自らを孤独へ追い込んでいく兄への憐憫か。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2010年3月3日
読了日 : 2008年4月2日
本棚登録日 : 2008年4月2日

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