食がわかれば世界経済がわかる (文春文庫 さ 42-3)

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  • 文藝春秋 (2008年6月10日発売)
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感想 : 18
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西葡の植民地経営と、英国のそれはかなり違う、という第一章が一番面白かった。
西葡は収奪的に植民地を経営し、そこで産業が育たなかった。
一方、英国は植民地で衣食に関わる農産物作りを行い、宗主国の富を蓄積した。
これにより、世界の覇権を握るのはイギリスになった、という件だ。

世界の後進地であった西欧が、近代に入ってなぜ豊かだったアジアまで支配する力を持てたのかの説明は、ダイアモンドの本を読んだ方が刺激的。

著者、榊原さんは、フランスのように、日本も食を外交の武器にすることを目論んでいるらしい。
世界の要人をもてなすのに使え、と。
日本食は確かに海外でも評価する人は評価しているが、果たしてどれくらいの広がりを見せているのか。
原著は2006年、もう10年も前に刊行されている。

日本の高付加価値な農作物を輸出産業にという議論も、この十年でどれくらい現実化してきたものやら。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年7月23日
読了日 : 2016年7月23日
本棚登録日 : 2016年7月23日

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