モノ書きピアニストはお尻が痛い (文春文庫 あ 52-1)

  • 文藝春秋 (2008年11月7日発売)
3.35
  • (1)
  • (14)
  • (16)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 99
感想 : 17
4

20年ほど前に、様々な媒体に発表された文章をまとめたエッセイ集。
もちろん、文庫となった2008年からも、すでに十数年経っている。
ただ、今読んでも面白く読める一冊だ。

青柳さんのことは、ドビュッシーの楽譜を分析した本のことを新聞で読んで知った。
演奏家としてだけでなく、音楽学の方でも業績を残す、とんでもない才能だと思ったことを覚えている。

その才能は、きっとお祖父さん譲り。
仏文学者青柳瑞穂が、その人だという。
そして、そのアイディンティティが、この人にとって相当大きいものであることが、本書からわかる。

そういった「二足の草鞋」を履くことの意義と難しさも、本書にはしっかり書かれている。
音楽であれ、本であれ、批評とは本当に難しい。
(演奏家がそんなに批評を気にしているとは知らなかったが。)

ピアノを弾くとき、指を曲げるか伸ばすか論争。
それを提起したのは青柳さんだったのか。
たしかに、5年ほど前、30年ぶりにピアノのレッスンを再開したとき、昔と違い指をそれほど丸めなくていいと指導され、びっくりしたことを、自分の経験として知っている。
どちらかが絶対的に正しいわけでないが、どちらで育ってきたかによって、レパートリーに若干差がつくという話は面白かった。

あとがきが小池昌代さんだということもあって、本書を買った。
なんか、二倍得をした気分。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年12月19日
読了日 : 2021年12月18日
本棚登録日 : 2021年12月19日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする