20年ほど前に、様々な媒体に発表された文章をまとめたエッセイ集。
もちろん、文庫となった2008年からも、すでに十数年経っている。
ただ、今読んでも面白く読める一冊だ。
青柳さんのことは、ドビュッシーの楽譜を分析した本のことを新聞で読んで知った。
演奏家としてだけでなく、音楽学の方でも業績を残す、とんでもない才能だと思ったことを覚えている。
その才能は、きっとお祖父さん譲り。
仏文学者青柳瑞穂が、その人だという。
そして、そのアイディンティティが、この人にとって相当大きいものであることが、本書からわかる。
そういった「二足の草鞋」を履くことの意義と難しさも、本書にはしっかり書かれている。
音楽であれ、本であれ、批評とは本当に難しい。
(演奏家がそんなに批評を気にしているとは知らなかったが。)
ピアノを弾くとき、指を曲げるか伸ばすか論争。
それを提起したのは青柳さんだったのか。
たしかに、5年ほど前、30年ぶりにピアノのレッスンを再開したとき、昔と違い指をそれほど丸めなくていいと指導され、びっくりしたことを、自分の経験として知っている。
どちらかが絶対的に正しいわけでないが、どちらで育ってきたかによって、レパートリーに若干差がつくという話は面白かった。
あとがきが小池昌代さんだということもあって、本書を買った。
なんか、二倍得をした気分。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年12月19日
- 読了日 : 2021年12月18日
- 本棚登録日 : 2021年12月19日
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