銀の猫 (文春文庫 あ 81-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2020年3月10日発売)
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感想 : 57
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標題の「銀の猫」は別れた夫の義父から貰った銀細工の小さな御守り。別れた理由は、妾奉公ばかりしていた実母が、この義父から大金を借りたことから。この借金を返すために給料が高い「介抱人」となったのも、この義父の介抱があったからでもあった。何も出来ない実母と関わり合いになるのが嫌で、大変な仕事の介抱人をどんどん入れて行く。
現代でも家族の介護は大変だが、江戸時代は息子や後継者が介護をすると決められていたとか。他人が入ることで良い方に向かうという事で、色々な問題を抱えた家に入って、介護される側との交流が小気味良い。元気な意地悪婆さん、大身の旗本の隠居、大奥勤めを引退した老婆など、意外な交流とその後が面白い。最後には嫌っていた実母との邂逅もあり、心が暖かくなる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2022年6月11日
読了日 : 2022年6月11日
本棚登録日 : 2022年6月11日

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