イスラーム: 知の営み (イスラームを知る 1)

著者 :
  • 山川出版社 (2009年10月1日発売)
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感想 : 10
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イスラーム王朝の変遷についての最適な解説書が以前紹介した関眞興氏の『読むだけイスラム史』だとしたら、この本はイスラームという宗教についての最適な入門書であると言えます。高校世界史や倫理の教科書レベルからさらにもう一歩知識を深めたいと思ったとき、この本は非常に役立ちます。例えばムスリム(イスラーム教徒)の義務とされる「六信五行」についての詳しい説明やイスラームの指導者“カリフ”“信徒の長(アミール・アルムーミニーン”“イマーム”の違いなど。また、まったく私の勘違いでしたが、シーア派においてカリフは「アリーとその子孫以外認めない」というのは教科書にも書かれてある説明ですが、私はこれをアリー以後の話だと思い、それ以前のいわゆる「正統カリフ」(アブー=バクル、ウマル、ウスマーン)については「正統」という言葉に惑わされ、またシーア派が形成されたのがウマイヤ朝であることから、シーア派でも認められていると勘違いしていました。シーア派においてはアリー以外の「正統カリフ」は「簒奪者」ということらしいです。とにかく、世界史や倫理を深く理解する第一歩としてこの本は一押しです。
※雑学ですが、この本でラクダが一度に運べる荷物の重さが約250キロであることを知りました。最近は「草原の道」「オアシスの道」「海の道」というユーラシア大陸の東西をつなぐ交易ルートについてよく出題されてますが、その解説をするときにネタとして使えそうです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 世界史
感想投稿日 : 2010年3月14日
読了日 : 2010年3月14日
本棚登録日 : 2010年3月14日

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