少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (単行本)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年2月27日発売)
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本棚登録 : 478
感想 : 54
4

一筆と書いて「にのまえ はじめ」と読む。
タイトルと装丁と、著者の名前に大好きな厨二病臭を感じたウチ。著者のことは全く知らずに、さっそく読んでみることに

読み終えてから著者のことを調べてみると、ゲームメーカー「ニトロプラス」に所属するクリエイターで、「魔法少女まどか☆マギカ」の小説版を書いた方とのこと。うーん、まどマギは言葉だけは知ってるんだけどなぁ……娘の方が詳しいかも

某私大の学生寮。二浪で学生となった十倉和成の住むたった6畳の部屋の天井裏から女子高生が顔を出す。
事情があって、屋根裏に潜むことになった女子高生のさちを食べさせて、できる限り早くそんな環境から救うために十倉は少しずつ動き始める。

映像の天才だった友人の影を追って、二浪までして上京した十倉の事情と、彼の周りから彼をつつく個性的な同級生に、謎の大和撫子・さち。さちと十倉の微妙な距離感を軸に、なぜ十倉が上京したのか、なぜ映画を忌み嫌うのかを印象的なシーンと台詞回しで描きます

なんというか、かなりクセのある世界感ですが、先入観なしに気持ちよくその世界感に浸れる小説です。
著者は「このラストシーンを書けたらもう死んでも悔いはない」とまで書いていますが、ラストシーンも、その一つ前のシーンも個人的には大好きです。アニメ作品や演劇的なアプローチができる作品じゃないかなぁ。
「ありえへん」と言ってしまうと、泡のように消えてしまう世界、物語ではありますが、この世界を感じる力は大切にしたいなあと思うわけです。

あー、楽しかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファンタジー
感想投稿日 : 2014年12月7日
読了日 : 2014年11月30日
本棚登録日 : 2014年9月3日

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