電波の城 (23) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館 (2014年7月30日発売)
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本棚登録 : 63
感想 : 7
5

細野不二彦先生の大作完結です。
私はこの作品を、天宮詩織が家族への愛憎に身を焦がしながら栄光への階段を登り、そして最後に破滅するサスペンスものだと認識しています。
父理一のようにジャーナリズムの理想を追い、母さおりのように自らの城を手に入れるために戦い、そして最後は自ら果てる。詩織の生き方にはその両親の人生と理想が強く反映されています。
両親の生き方を受け継ぎ、両親の思いや考えを感じ取り、そして最後には自ら命を絶ちます。彼女は、自ら命を絶つことで、今は亡き両親に寄り添い、彼らの感じた悲しみに寄り添い、それを共に分かち合います。そしてその先に、死の間際に父理一が夢見た、家族三人の温かい光景があるのではないでしょうか。

難点を上げるとするなら、最後のビデオ公開の際にジャーナリズム的動機(父由来)だけじゃなくて母への愛憎も描いて欲しかったなあと思いますし、その意味でビデオと集団自殺の真相は少し弱かったと感じます。
後はサスペンスとして纏めたために、本城律子等の序盤中盤のキーパーソンが脇に追いやられた感が強かったことでしょうか。せっかくだから後日談で補完して欲しいところでした。

最後に、最終ページの一つ前の見開きは、漫画史に残るような、本当に美しいシーンだったと感じます。
また、細野先生にこのような作品を書いていただけたらなと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年11月10日
読了日 : 2014年11月10日
本棚登録日 : 2014年11月10日

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