沈黙の王 (文春文庫 み 19-5)

著者 :
  • 文藝春秋 (1995年12月8日発売)
3.69
  • (54)
  • (57)
  • (114)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 604
感想 : 43
4

超久々の中国モノ・・・
初の宮城谷昌光で・・・
彼の十八番の古代中国モノの短中篇集・・・

今まで一番古い時代のもので始皇帝(安能 務のヤツ)だったけど、更に古い時代・・・
夏や商(殷)、周、そして春秋の時代!
全然馴染みない・・・
けども面白い・・・
小難しい?
いえ、全然・・・
歴史モノだけど、ファンタジー要素も混ざってるし、落ち着いたトーンの丁寧な語り、文体で、結構スンナリ物語が入ってくる・・・

一番良かったのは、2篇目の『地中の火』・・・
夏王朝を一時的に滅ぼした男たちの物語・・・
中国で最初に弓矢をつくり、弓の名手だった后羿【コウゲイ】と・・・
その側近で、権謀術数鮮やかな寒浞【カンサク】の天下制覇への物語・・・
后羿に拾われ、后羿へ天下を獲らせるために献策し、時には手足ともなって動き回る寒浞・・・
彼の功もあり、天下獲りにあと一歩というところまでいった后羿・・・
その后羿を寒浞は謀殺する・・・
寒浞はその覇業を引き継ぎ、夏王朝を滅亡させ、王となる・・・
だが、そんな寒浞もまた、滅ぼしたはずの夏王の遺児により、滅亡の時を迎える・・・
・・・
寒浞の才知のキレとその野心の遠大さ・・・
燃えるよね・・・
そして最期の儚さもとても良い・・・
夢のまた夢、感が味わい深い・・・
わずか40ページに、栄枯盛衰が詰まっておる・・・
好きです・・・

その他・・・
名将、忠臣、名臣、奸臣、妖女、暗君など各篇で魅力的な人物たちが織り成すドラマが面白い・・・
語り口がなんだか良いんだよなぁ・・・
古代中国が題材なんだけど読みやすいんだよなぁ・・・
すごいよ宮城谷さん!

中国は美女が何度も国を滅ぼすね・・・
妖しい美女に近寄っちゃダメですね・・・

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2016年12月30日
読了日 : 2016年12月30日
本棚登録日 : 2016年12月30日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする