虚空遍歴(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1966年11月1日発売)
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感想 : 21

転げ落ちるような転落。才能があるがゆえに、その才によって名もない芸術家の命は人に知られることもなく静かに消えていった。沖也の最後がなんとも印象的で、読後はなんとも言えない灰色の寂寥感にとらわれずにはいられなかった。こんな風に歴史の表舞台には上がらずとも、苦しんでのたうちまわって自らの内にある美を追い求めて死んでいった幾多の名もない求道者がいるのだろうか。平々凡々な才能のない自分も、それはそれで人並みの幸せを噛みしめるぐらいにはよかったのかもしれない、などと感じ入る。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年3月5日
読了日 : 2015年3月5日
本棚登録日 : 2015年3月5日

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