9.11のとき僕は高校3年生だった。あのときは何が悪で何が正義かも判断する力はなくて、テロとの戦いと正義の実行を標榜するアメリカがイラク戦争をしようとしていることに、なんの疑問を差し挟むことが見できなかった。ハリウッド映画で見るアメリカのあり方がよほど身についてしまったのだろう、兵士たちから「USA!USA!」と歓声を浴びるブッシュ大統領の姿から「そうだ、やってしまえ。テロは悪なんだ」と日本人である僕でさえも幼い正義感に駆られたものだ。あれから10年以上経ってそのとき感じた自分の感情を思い返してみれば、簡単でわかりやすい正義と悪のヒーローごっこにのっかっただけとしか思えない。真実は得てして単純じゃない。複雑で理不尽だ、特に知りたくなかった真実に関しては。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2013年12月5日
- 読了日 : 2013年12月5日
- 本棚登録日 : 2013年12月5日
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