江戸川乱歩の作品の中でも、変態趣味を扱ったミステリ―作品群の一つ。
犯人側の視点で描く倒叙形式を取っており、犯罪を実施するまでの経緯、犯人の気持ちの移り変わりがわかりやすく描かれている。
この作品の最大の特徴は、のぞき趣味を取り上げているところだ。
他人の私生活をこっそり覗いてみたいという、邪な(よこしま)な欲望を誰しも心に秘めているのではないだろうか。人間の持っている邪な欲望をあからさまに示し、その欲望を「屋根裏の散歩」という意表を突いた方法で実現してみせたところが、この作品の真骨頂であり、面白いところだ。
のぞく側のゾクゾクするような、みだらな楽しみと同時に、のぞかれる側の恐怖も感じ取ることができるのではないだろうか。
天井を見上げて、誰かがのぞいているのではないかとふと疑心暗鬼に捉われたり、押入れの天井を試しに持ち上げてみたりと……。
完全と思われた犯罪が意外なものから破綻するところ、明智探偵が犯人に仕掛けたトリックによって犯人が観念するところも面白い。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年8月1日
- 読了日 : 2017年8月1日
- 本棚登録日 : 2017年8月1日
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