よくわかる学級ファシリテーション②―子どもホワイトボード・ミーティング編― (信頼ベースのクラスをつくる)

  • 解放出版社 (2011年8月27日発売)
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3

「概念理解を社会的に構成するツールとしての探究型学習への応用」

このミーティングは、ホワイトボードを小グループで使い、発散-収束-活用のフェーズをたどる。

1 発散
「何でも書いて、そんなエピソード何かある?」という感じ。

「わたし」や改善の必要に迫られている「掃除の時間」などのキーワードをマインドマップの真ん中に書き、4本の枝を伸ばすことから始まる。
ここで「ーと言うと?」というオープンクエスチョンに対してグループから出たことをそれぞれに書いたものが、第二階層になり、そこから更に「それってどんな感じ?」、「例えば?」と進んで第三階層。最後に「もう少し詳しく教えて」、「具体的なエピソードは?」で第4階層まで進む。

話し合いは、第3階層やこの第4階層ですると、周りが意見を言いやすくなり、話し合いがかみ合ってくると述べられている。

マインドマップに似た形での書き方は慣れるまでの補助線みたいな扱いで、次第に使わなくなる。

Q)抽象的なレベルでは、自分との関わりは見出しにくいということだろうか?

Q)この「発散」を小グループですることの意義は経験的には実感があるが、理論的にはどういうことであろう?「共同想起?」というだけでない点があると考えたい。

2 収束
「いろいろ出て盛り上がったけど、みんなが納得できるのはどれとどれ?」

抽象的な言葉から各人の具体エピソードに降りて、教員から出されるポイントや視点で具体を選り分けして、集約する。例えば、今行っているある活動について、やっていること、うまくいっていること、残念なことを発散した時には、「この後も、続けたいこと、これからやりたいことを3つ選ぶ」というようなゴールに向けての合意による取捨選択とそれによってなされる集約の視点が与えられる。

Q)個人的には、ここにこれまでのマインドマップ作りを超える鍵があるように感じる。書かれている範囲では、次の「活用」での具体的な行動計画を考えるための準備段階として描かれているようにも読める。理論的にはどのような意義があると考えているのか?

C&Q)このヴィゴツキーの言う「複合」を思い起こさせる概念形成のような過程に積極的な意味付けをしたい。
そして、探究型の概念理解の過程になぞらえるとすれば、ここで選択して、次の活用でその具体的な計画を立てるということは、どういう意味を持つのだろうか?
探究では、その成功は児童が学びの結果自発的に起こすアクションの有無によって測れると言われている。
ホワイトボードミーティングによって概念理解が構成されて、それを元にした行動計画を立てるという過程は、探究型の学びへの一致を感じさせる。

3 活用
「それで、僕たち何するの?」
収束で選んだものを実際に行動に移すときの計画や役割分担をする。

全体を通して、一番興味を持ったのが、社会科で「どうして江戸幕府は長く続いたのか」という問いに答えるために、「江戸幕府」を真ん中に置き、発散をしていた例だった。
第二階層に「鎖国」、「武家諸法度」など日本史のキーワードが4つ並び、それぞれについて、例えば、「長崎」や「参勤交代」などの具体的なことからが3-4つ書かれる。この階層でよくしらなかったところが探るべきところとしてピックアップされて、調べ学習に移るという道筋が描かれていた。
この収束の段階で、キーコンセプトを通して関連するものをピックアップする、そして、ピックアップしたもの関して不思議に思うことを問いとして立てるというようんことをしたら、どうなるのであろう?


他にも、探究のプロセスのいろんなフェーズで使えるのではないか。
例えば、はじめに既に持っている知識を確認し、問いを立てるTuning in。学んだことを整理するSorting out。アクションを起こす時の計画立案とその実行後のリフレクション。
これらを教員対20-30の児童でするのではなく、ファシリテーターとして児童が互いに動き進めていくことが可能になる。

ぜひ試したい。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 教授学習
感想投稿日 : 2014年4月4日
本棚登録日 : 2014年4月2日

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