日本中枢の崩壊

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  • 講談社 (2011年5月20日発売)
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訳がわからない原発問題について、何か分かるかいな、とジュンク堂で衝動買い。

ま、衝動買いは失敗を恐れてはいけないので、仕方ないか。

霞が関の官僚達と話をしていて強く感じるのは、彼らが内部事情の精通度についてものすごく執着していることである。

もちろん、どこの組織にも「内輪の事情」はあり、内輪の事情の開陳は内部通であるという特権を与えるから、そういう欲求はどこの業界にもあろう。それにしても、霞が関の官僚のそれは尋常ではない。誰と誰が仲が良いとか、なんとかの話はこの部署とあの部門とにまず話を通して、とか、あの法案が通らなかったのは誰かれの横やりが、、、

僕は、こういうのにほとんど全く興味がない。へええ、さいですか。で終わりである。官僚と交渉する際にも、こういう知識がなくても全然困らない。なにしろ、こっちは分かりませんといえば、鬼の首でもとったように、なんだイワタ、そんなことも知らないのか、実はなあ、と丁寧に教えてくれるからである。その優越に輝く目をみていると、彼らにとってこの内部事情通であるというアセットがいかに貴重なものであるか、察することができるのである。多分、人物評定や昇進にも、この能力が大きく作用しているのではないかと想像する。

前置きが長くなったけど、本書はそういう内部事情を開陳する本だ。これまでにもしょっちゅうあった、日本の官僚と政治家がどうしてこんなにダメなのかを、延々とつづる恨み節だ。ただ、本質的な、構造的な問題は、そちらのほうが僕には興味があったのだけれども、やはり、よく分からない。案外、そういうのは内部にいる人自身、気づかないものだ。内田樹さんみたいに霞が関に(たぶん)はいったこともないような人のほうが、はるかにざっくりと正確に基本構造を理解する。

とまあ、きびしめの書評になっちゃったけど、こういうルサンチマンを抱えたインサイダーがインサイダーをこき下ろすという「語り口」を僕があまり好まないせいかもしれない。医学部の曝露本とか書いたらずいぶん「ネタ」はたくさんあるので楽しかろうと思っていたけど、やっぱやめとこうかな。

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感想投稿日 : 2011年6月11日
本棚登録日 : 2011年6月11日

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