情報整理術の本も「グーグル」の4字を冠した本も腐るほどあるわけだが、本書は著者の1人(ダグラスのほう)がグーグルのCIO――最高情報責任者をしていたという点がミソ。
つまり、グーグルの「中の人」自らが、グーグルなどを利用した情報整理術を説く一冊なのだ。「きっと、有象無象のITライターが書いた本よりも深い内容に違いない」と期待して手に取った。
が、かなり期待外れ。
何より、本の構成がものすごく中途半端で、的が絞れていない。
これは、情報整理術の実用書であると同時に、情報についての著者の「哲学」を開陳した書でもある。また、著者自身の思い出を綴った自伝的エッセイでもあり、上手な記憶法のコツを説いた本でもある。
いったい、著者は何の本が書きたかったのだろう?
実用書なら実用性に徹するべきだし、逆に高尚な情報哲学の本が書きたいのなら実用性は削ぎ落とせばよい。自伝が書きたかったのなら、最初から自伝に的を絞ればよかったのだ。著者は子ども時代から失読症に苦しんできたのだそうで、にもかかわらずグーグルのCIOにまでなった半生は、じっくり書き込めば感動的な読み物になっただろう。
情報整理術の本に中途半端に自伝的要素を持ち込んでいるものだから、実用書を期待して手に取った私には、随所にある「自分語り」がウザくてたまらなかった。
肝心の情報整理術についての記述も、Gメールやグーグルカレンダーの上手な使い方などというありふれたもので、すでに使いこなしている者にとってはなんら新味がない。
それと、アメリカン・ジョークというか、笑いを狙ったヒネリが文章の随所にあるのだが、それがけっこう寒くて鼻白んでしまった。
- 感想投稿日 : 2018年11月24日
- 読了日 : 2010年6月21日
- 本棚登録日 : 2018年11月24日
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