昨年3月に亡くなった著者の、最後の著作だ。闘病中、“生きているうちに10冊目の著書を出したい”と準備を進めていたものだという。
読後、「やはり音楽評論家として替えのきかない人だった」との思いを強くした。
例によってビートルズ・ネタが中心だが、幅広い音楽が取り上げられている。そして、自らの日常描写と音楽話が、シームレスに登場する。
よい意味でゆるい、飄々とした文章だが、真似のできない味わいがある。評論然とはしていないが、ロックについての卓見が随所にある。
本書の最後に近づくにつれ、収録エッセイに病気と死の影が濃くなっていく。
ラス前が「生きていこう」、ラストの一編は「 Still Alive And…」というタイトル。とくに後者は『ロッキング・オン』への最後の寄稿文(2021年10月号)であり、ファンと読者への別れの挨拶のような内容だ。それでも、飄々としたタッチはいつもと変わらない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
音楽本
- 感想投稿日 : 2023年1月25日
- 読了日 : 2023年1月25日
- 本棚登録日 : 2023年1月25日
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