「ライター仕事の参考になるかも」と思って買った本。
著者は「英語本作家」として著名な人で、「英語本」(英語の学習に役立つ一般書)の世界で多くのベストセラーを出している。
その意味で「ベストセラー作家」には違いないが、それは英語力という特殊技能ゆえの実績であり、一般的な「作家」ではない気がする。
それはさておき、「ベストセラーを書く技術」を教える本としてもあまり参考にならなかった。
内容以前に、著者が随所で“自分がいかにすごい書き手であるか”を強調するのにウンザリ。著者の自慢話が読みたくて買ったわけではないのだ。
そもそも、自分のことを「作家として大成功している」(「あとがき」)なんて、フツー書くか? 東野圭吾や宮部みゆきだって、そんな臆面もないことは書かないだろう。
内容も、一見すごいことを書いてあるように見えて、よく見るとあたりまえの話ばかり。
たとえば、「執筆べからず3か条」の一つに挙げられているのが、「長たらしい文を書かない」。そんなあたりまえのこと、著者に教えてもらうまでもない。
また、「私が編み出した『ページ価値の法則』」なるものが紹介されている。それは、「1ページ目は200ページ目の200倍価値がある」というもの。
何やら深いことを言っているように思えるが、中身は次のようなもの。
《1ページ目が読まれ、めくられなければ、残りの199ページが読まれることはないわけですから。その意味では、「まえがき」の1ページは200倍どころか、2000倍の価値があると言えるかもしれません》143ページ
「冒頭で読者の心をつかむために、書き出しの文はよく考えて書こう」というあたりまえの話でしかない。それを「私が編み出した『ページ価値の法則』」などとドヤ顔されても、トホホ~である。
内容は、だいたいそんな感じ。
参考になる点も少しはあったので愚書とまでは言わないが、奇書のたぐいだ。
- 感想投稿日 : 2020年12月11日
- 読了日 : 2020年12月11日
- 本棚登録日 : 2020年12月11日
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