ここ数年著作を量産している苫米地だが、意外にも新書はこれが初だそうだ。
最近の「苫米地本」の中では、わりとまっとうな本。
いや、これだって相当うさんくさい部分は散見されるのだが、ほかの著作に比べたらまっとう。新書というフォーマットを意識してか、フォレスト出版とかから出している一連の著作よりも一般的で薄味な内容になっているのだ。
全3章のうち、タイトルに対応した内容になっているのは1章のみ。個別のテレビ番組批判というより、「テレビという『洗脳装置』」の危険性に対する警鐘である。
“我々は自分の好みで商品等を選んでいるように思っているが、じつはテレビによって選ばされている”などという話は、「何をいまさら」という感じで、あまり新鮮味がない。
それに、苫米地が開発した「キーホールTV」なるサービスの宣伝と、彼がオーナーになっているという雑誌(そのことは知らなかった)『サイゾー』の宣伝が多いので、そのへんはナナメに読み飛ばすべし。
豪快な自慢話が多いところといい、自分の商売の宣伝を自著で臆面もなくやるところといい、苫米地は大前研一に似てきた(笑)。
1章よりもむしろ、副題の「脱・奴隷の生き方」が章題になっている2章のほうが面白く読めた。
苫米地はこの章で、親などから押しつけられたステレオタイプの価値観に従って生きるのは「奴隷の生き方」だという(苫米地はほかの著作でも、“親こそが人間にとって最大の洗脳者であり、親による巧まざる洗脳を解くことこそ自由な生き方の要諦だ”と説いていた)。
そして、逆に洗脳の手法を援用して、真に自由な「脱・奴隷の生き方」をするためのコツを説いていく。
キーワードは「コンフォートゾーン」「ホメオスタシス」「スコトーマ」である。くわしくは本書を読まれたし。
- 感想投稿日 : 2019年3月25日
- 読了日 : 2009年12月10日
- 本棚登録日 : 2019年3月25日
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