千利休

著者 :
  • 本の雑誌社 (2004年12月1日発売)
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感想 : 34
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清原なつのが4年半を費やして描き上げたという、千利休の伝記マンガ。

利休の生涯と「茶の湯」大成のプロセス、そしてそこに関わる信長、秀吉ら戦国大名たちの動向が、並行して描かれていく。

清原は、趣味としてずっと茶道をやってきたそうだ。そのうえに、本作を描くために関連書籍を大量に読み込むなど、入念な準備を行ったという。

そうした努力が生かされ、読み応えのある伝記マンガになっている。

あとがきで、清原は本作について謙遜しまくっている。

《監修なしで好き勝手に作ったまんが「千利休」は、いいかげんなモノではありますが、それなりにカワイイ出来なので、》

とか、

《千利休の『芸術』は書けていません。史実と虚構や伝説をまぜて、一つの物語にまとめました。まんがという手に取りやすい形で、「千利休ってどんな人なのだろう」という謎を解く、一歩にしていただけたら幸いです。》

というふうに……。

まあたしかに、専門家が唸るような出来ではないのかもしれない。
しかし、作者に茶道に関する土台があるから、ゼロから付け焼き刃で描いたような薄いものにはなっていない。

そして、よい意味でも悪い意味でも「学習マンガ」的な作品である。
マンガにしては文字量が多く、作者が勉強した事柄を詰め込めるだけ詰め込んだという趣。

ゆえに、何度も読み込めば、「茶の湯」や利休ゆかりの名器の数々について、かなりの知識が得られるだろう。
逆に、マンガとしては情報を詰め込みすぎで、物語のスムースな流れが損なわれているうらみがある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ/か行の作者
感想投稿日 : 2020年7月11日
読了日 : 2020年7月11日
本棚登録日 : 2020年7月11日

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