the band apartの『quake and brook』を中古で購入。バンアパが2005年に発表したセカンド・フルアルバム。
私は4枚目の『Adze of penguin』(2008)からバンアパを聴き始めた遅めのファンなのだが、これでようやく現時点での全アルバムを揃えたことになる。
4枚とも甲乙つけがたい素晴らしさだが、この『quake and brook』はほかの3枚に比べてギターの比重が高い印象で、私にとってはそこが好ましい。全編ギターの洪水。なのに、少しも暑苦しくない。ダンサブルなのにクールで理知的。アレンジは複雑で演奏はテクニカルなのに、抜群の聴きやすさとノリのよさ。
彼らの「盟友バンド」、モック・オレンジのジョー・アッシャーが本作のライナーノーツに寄せたコメントによれば、「the band apartはある種の“CITY-FUNK”さ」ということになる。なるほど、バンアパの音はファンキーでもあるし、何よりまぎれもない「都市の音楽」でもある。
ほかのアルバム同様、歌詞はすべて英語で、ちょっと聴いただけでは日本のバンドとは思えないほど垢抜けている。ポール・ウェラーをもう少し甘くしたような荒井岳史のヴォーカルも、相変わらず耳に心地よい。
これほどハイクオリティーなバンドが、いまだにインディーズでありつづけているのが不思議だ。まあ、インディーズでのマイペースな活動だからこそ、ほんとうに作りたい音楽が思う存分作れるということもあるだろう。
おりしも、私が気に入っていたユニット「二千花」が、セカンドアルバムを出すことなく昨年末で解散していたことを知った。ヘタにメジャー・デビューしてしまうと、CDの売れ行きが悪いことですぐに活動が行きづまってしまうのだろうな、と推察する。
バンアパには、インディーズのままでもよいから末永く活動してほしい。
- 感想投稿日 : 2019年3月24日
- 読了日 : 2010年1月10日
- 本棚登録日 : 2019年3月24日
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