『錦繍』では、宮本輝って女の心がよくわかる人だわって感動したものですが、『優駿』はけっこう男の物語です。それも、『青が散る』よりもだいぶん中年になった男の夢とロマンと欲望の物語(笑)27の女がのめり込めるような話ではなさそうですが、それでもどうしたことでしょう、ページをめくる手が止まりませんでした。
登場人物のそれぞれの過去や現在の物語をとても丁寧に描写してくれるのが、宮本輝作品の大好きなところ。主人公の和具平八郎・久美子の親子のみならず、博正、多田、誠、奈良... と、チェスの盤上を躍る駒たちのように、登場人物たちを物語の中心に集めてくる手法がとても鮮やかでした。
さて、舞台は整いました。続く下巻では、いよいよオラシオンと誠の2つの命が躍動していく(?)のだろうと思います。読むのがとても楽しみ。(Sept. 3, 2020 レビュー)
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年9月3日
- 読了日 : 2020年8月31日
- 本棚登録日 : 2020年6月2日
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