2012年8月30日読了。
作者は第二次世界大戦の時、実際に幼年学校にいたそうで、かなり自伝的要素の強い小説だそうです。
主人公省治(昭和2年に生まれたのでこの名前)は、戦死した親戚に憧れ、親は「どうせ戦争に行くのなら将校になれば生き残れる」という思いがあり、幼年学校に14歳で入りますが、2年の間に一気に戦況は悪化していくことに。気が弱く、軍人らしいところもない省治でしたが、玉音放送の後に周囲が簡単に考えを変えていく姿についていけず、悲劇的な最後を迎えます。
主人公の内省的な心を繊細に描き、若いころにありがちな死への憧れや、恋愛感情の代償としての同性愛描写はちょっと少女漫画的でもあります。
後の世から見れば、なぜ戦争が終わってうれしくないのか?とも思ってしまいますが、当時の心境を詳細に描いており、玉音放送の後に「生きろというなら、なぜ玉砕する前に死ぬなと言わなかったのか、おかしい」と叫ぶ生徒たちの姿は、大人のずるさをずばり指摘していました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2012年読んだ本
- 感想投稿日 : 2012年8月31日
- 読了日 : 2012年8月31日
- 本棚登録日 : 2010年11月9日
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