戦艦大和ノ最期 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社 (1994年8月3日発売)
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本棚登録 : 508
感想 : 55
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アニメ「宇宙戦艦ヤマト」を見てたら、そういえばこの本買ってたよなあと思い出し読んでみました。前は文語体が読みにくくて挫折してたんです。
当時21歳だった作者、吉田満が戦艦大和に乗り込み、沈没するまでを描いたノンフィクションです。終戦後に一気に書き上げたそうで、かなり記憶は新しい状態だったのではないかと思います。
出版された時は戦争賛美という批判もあったそうですが、今は戦争文学の古典として有名ではないでしょうか。
戦艦にはたくさんの人間が乗っており、それぞれのドラマが切ないです。恋人に自分が死んでも幸せになってほしいと願う姿は、まあある意味自己陶酔とも言えるかもしれません。しかし、死が絶対の特攻という片道切符に、若い人間が思うことは、多少ロマンチシズムがあって当然じゃないか、そうやって自分の死が無駄でないことを願うのは当然じゃないかと思います。
作者があとがきに、戦争肯定だと批判する人は、じゃあ我々はどうすればよかったのか教えていただきたい、戦争忌避して死刑になればよかったのか、戦場で無責任に振る舞えばよかったのか?と書いてあるのは最もだと思います。戦争はいやだ、死ぬのはいやだ、でも職務に忠実であった若者たちの生きた姿がこの本にはありました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2013年読んだ本
感想投稿日 : 2013年5月5日
読了日 : 2013年5月5日
本棚登録日 : 2013年5月5日

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コメント 2件

だいさんのコメント
2013/08/18

>まあある意味自己陶酔とも言えるかもしれません

この表現、まさに適切な感じがします。
死に臨んで、生きる意味を考えさせられます。

ぎんこさんのコメント
2013/08/23

だい▽さん
コメントありがとうございます。
死に臨んで、ロマンチシズムとも思うけれど、それなりに自分の生きた意味を肯定しようとする若者の姿は、やっぱり切ないです。
それを戦争肯定と言って切り捨てることは私は出来ないなと思いました。

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