ただのB級モンスターパニック映画だと思って観たら全然違いました。
表面上はモンスターパニックものなんだけど、
ファミリーコメディと社会風刺、メッセージ性をぶちこんでる。
そりゃ韓国でヒットするよ・・・。
アメリカでもそういう映画はヒットしますよね。
映画が観客の気持ちを代弁してくれてるようなやつ。
日本ってそういう映画があまり無い気がするんです。
(知ってたら教えて欲しい)
なんで日本の映画界ってこうなの?
送り手側の問題?我々受け取り手側の問題?
と、強く思わされました。
で、この映画はモンスターパニックものとしてはそこまで面白くない。
だけど、色んな要素が入ってて、その不協和音がすごくよくて。
たぶん意図的になんだろうけど、全ての部分でセオリー破りを目指してる気がする。
謎がすげえ多いんです。
ここでフォローさせて頂いてる方とちょっと話したのだけど、
モンスターの大きさってほんと重要ですよね。
ゴジラサイズになると、民間人は手が出せない。
軍隊が出てくるので、ジャンルとしては戦争映画やディザスター映画。
『メルド』のように等身大になるとバイオレンス映画。
この『グエムル』サイズで思い出すのは、超名作『トレマーズ』だ!
『トレマーズ』世代なんですよ(笑)。
で、『トレマーズ』は陸上版『ジョーズ』なんだとか。
あとまんま『デューン』のサンドワームの小さい版なんだけど。
このサイズになると、個人が戦えるのです。
ジャンルとしてはガンアクションになる。
『グエムル』は完全に個人・家族目線の内容で、
科学者が出てきてモンスターの出自や生態を説明したりとかがない。
全ては謎のまま。(出自だけははっきりと観客に示唆されてるんだけど)
そして、色々な社会問題もあるんだけども、
それらって我々一市民は、不満があったり「なんでそうなんの?」って思うのだけども、
複雑で膨大に膨れ上がった社会システムって、結局は謎なんですよ。
蛇口をひねれば水は出るし、スイッチを押せばテレビはつくけど、
例えば原発の問題にせよ、この映画でも出てくるけど、イラク戦争のこともそう。
根本的なことはよくわからない。
わからないまま、知らないまま色んなことが起きてる。情報に流される。
そういう怖さを非常に強く感じました。
印象的なのが「誰も俺達の話をちゃんと聴いてくれなかった」っていうね。
『ゴジラ』と対比しても、ABC兵器のAがゴジラで、BとCがグエムル。
震災以降、日本人にとってはAが重要なのだけど、
なぜか身近に感じられない。なんで?
BとCの方がものすごく身近な問題に感じてしまう。
ここんとこは日本の問題なのかもしれません。
CGは途中までは出来が良いのだけど、炎や爆発の描写って難しいんだろうなあ。
『キラー・インサイド・ミー』のラストで興醒めしたのを思い出した。
あれよりは出来いいけど。
そしてやっぱり食事のシーンは最高に良い。
(『エグザイル/絆』も料理~食事シーンは良い)
ラストは監督ははっきり名言しているのだけど、
観客はどちらでも取れるような作りになってます。
ウィルスの件もそうだけど、謎のままで色んな解釈ができる。
あと、「手のひらの○」はポン・ジュノさんのサインなんでしょうか。
グエムル=竹中直人で、『シェイキング東京』は続編なのかな。
モンスターパニック映画としては★3個。
社会風刺的メッセージで★4個。
ぺ・ドゥナの赤ジャージで★100個なので、
平均すると★5個の評価になります。
ポン・ジュノは萌えのツボをよくわかってるなあ。
- 感想投稿日 : 2013年6月7日
- 本棚登録日 : 2013年6月7日
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