歴史・文化・科学等、多角的で膨大なリファレンスに裏打ちされた、規定概念やバイアスを露わにする著者の緻密や描写が凄まじく、咀嚼し消化するのが大変だったし、まだできてない。。
日本語や英語だと性別を意識しないが、性別を明確にすることを強制される言語の学びを挫折してしまった身として、第8章の言語の性別のくだりは、非常に面白く読んだ。有名なマーク・トウェインが、ドイツ語を異常で奇妙で不合理な言語と嘲笑したが、ジェンダー体系を持つ言語話者にとっては、性別の区分けを不自由だと思ったこともないし、それが無くなったら表現の芳醇さや肥沃さが欠けてしまうのであり得ないということを理解することができた。挫折した言語学習を再開してみようかな…という気になった。気だけですが。
自分の言語にある表現や単語が他方に無ければその話者は知性が劣ってるとか思考が未発達とか単純に優劣でジャッジしがちな論点は歴史的に古今東西変わらず存在する印象だし、そんな論調の本や情報があふれて飛びつきやすい危うさを感じるからこそ、本作のような徹底したリファレンスの本を読む必要性を感じる。教養の低い自分にとっては正直読みづらく(何度も睡魔に負けた)、万人に受ける本では無いが、自分のバイアスに気付いたり概念が更新される快感を味わえる本。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年4月15日
- 読了日 : 2023年4月14日
- 本棚登録日 : 2023年4月13日
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