2020/9/9
Cageを軸にした音楽の録音(特に加工・編集ができないレコード)についてのスタンスとそれを巡る音楽(主に実験音楽周辺)と音楽環境の変遷について。
実験音楽関係のレコードは少ししか聴いてこなかったが、文中で触れられているCage / Hillerの"HPSCHD"はその数少ない中の一つだった。
確かに本書で紹介されている資料が付いていたが、果たしてそれを実践したリスナーはいるのだろうか…。
どちらにせよこのような議論は、頭の中で「音」を「楽しむ」行為の一つなのかもしれないが、音そのものと聞き手が置き去りにされている感じがする。
表題についても、その「風景」に対する興味の持ち方や視点をどこに置くかといった受け手側のスタンスは様々であるはず。
Baileyのレコード観も触れられていたが、作り手の意志と聴き手の受け止め方は一致しないし、一致する必要もないと思う。
まず音が聴かれることからしか全ては始まらないと思うのだが…。
内容的には終盤のレコードからCD、オンライン化への流れの方が興味深かった。
検索すればネット上で聴くことが可能な音楽ファイルと中古レコード店でやっと探し当てたレコード。
中身が同じ曲だとしても、果たして両者は同じものなのだろうか…
Grubbs自身の音楽家としてのルーツも垣間見える。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
音楽・アート
- 感想投稿日 : 2020年9月10日
- 読了日 : 2020年9月9日
- 本棚登録日 : 2020年8月25日
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