2023/08/24
佐藤優『日米開戦の真実』で印象に残っていた大川周明。
当局から削除された部分が復元されているとのことで興味を持って手に取ってみた。
導入部は『日米開戦の真実』で感じたように、歴史や哲学一般に対してとても論理的、理性的で事実に即した冷静で公正な視点と説得力のある内容だった。
ところが具体論に入ると、それまでの論理的・客観的な視点とは異なり、その価値判断基準が当時の世界で力を誇っていたロシア、ドイツ、イタリアの賛美とともに、国内においては日本書紀をはじめとする皇室による公的史書及び皇室の絶対視という極端に偏った皇室至上主義に終始していて、そのアンバランスさに違和感を感じて前半部分で読み進めることができなくなった。
当事者による歴史の公的記録に捏造は無いとしても、不都合な部分は記載されていないのではないかという疑いを、本書に対する検閲そのものが証明しているのではないか…大川はそう感じなかったのだろうか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史・文化
- 感想投稿日 : 2023年8月26日
- 読了日 : 2023年8月24日
- 本棚登録日 : 2023年8月26日
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