ロシアの星

  • 集英社 (2022年6月24日発売)
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感想 : 4

1961年4月12日に世界初の有人宇宙飛行を成し遂げたユーリー・ガガーリン。そのガガーリンについて実在の人物や架空の人物を織り交ぜて描かれた物語。実在の人物はガガーリンの妻や娘、宇宙飛行士ゲルマン・チトフ、ヴォストークの設計技師長コロリョフ、サラトフの農村の女性、架空の人物は星の街の元医師、下水清掃員のファン、警察署長と孫娘、フランスのジャーナリスト、工業専門学校の同窓生など。それぞれの直接的や間接的な関連エピソードが連作短編で綴られている。登場人物同士が時と場面を変えて出会い繋がることもあって、物語ならではの楽しみもある。

関わる人物を通してガガーリンの気持ちや考え、行動、意志を知ることができるが、それと共に当時のソ連の環境、英雄の扱い、宇宙開発計画の実情なども知ることができる。宇宙飛行を境に、ガガーリンの夢と希望は耐え難い現実に侵されていったということも。英雄と祭りあげられたがためのガガーリンと家族の苦悩、最後までただ「飛びたい」と願ったガガーリンの心と不安や後悔に押し潰されそうな妻の心、世界初の有人宇宙飛行に成功した人物の光と影を堪能した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年11月10日
読了日 : 2022年11月10日
本棚登録日 : 2022年11月10日

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