文庫本のより単行本の表紙絵の方が本の内容の雰囲気を出していて断然いい。国立自然博物館の博物学者の箕作類とコンピューター技師の池之端環の二人が遭遇する事件を描く連作短編だ。最初は蘊蓄だけが頼りの話かなあと思ったが、だんだんと面白くなる。いろいろないわゆる博物学の知識も面白いし、事件とそれを上手く絡めている。二人のやり取りも面白いし、他の登場人物もなかなかいい。最後のデニソワ人と現生人類の関係についての箕作の語りもいいねえ、ちょっと感動した。「四万年前を境に、現生人類の文化は爆発的に飛躍した。文化が飛躍する最大の原動力は、異文化との接触だ。異文化からの感染だ。その相手がネアンデルタール人やデニソワ人でなかったとは、誰にも言えないだろう」
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2019年11月24日
- 読了日 : 2019年11月24日
- 本棚登録日 : 2019年11月24日
みんなの感想をみる