世界の辺境とハードボイルド室町時代

  • 集英社インターナショナル (2015年8月26日発売)
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「五代将軍徳川綱吉の犬を殺すな、捨て子をするなという政策は、都市治安対策、人心教科策として、ある程度成功した。秀吉のできなかった銃規制もやっている。」「平安時代あたりから、ミニ中華帝国化をあきらめて、中国との程よい距離感によって、文明から切り離され、中華文明圏の辺境になっていく。」「信長の規律化への志向は変。信長、秀吉、家康の力の論理による支配は、長く続かないので、論理や法による支配を考えないといけない。北条泰時の『御成敗式目』や綱吉の朱子学をベースにしたイデオロギーは、中世的な殺伐とした空気を断ち切った。」「中世から近世にかけては、炊くと増え方が大きい古米のほうが新米より高かった。タイ、ミャンマー、インドもそう」「タイでは、農民は所得税を払わない。取ろうとすると、いなくなってしまって別のところで田を作る。タイ人の離合集散は激しい。家族や親せきも、友人もすぐにどこかへ行ってしまう。日本の農民の定住性とは対照的」「戦国時代の宣教師の記録を見ると、武士は戦場までは馬を使って移動して、戦うときは馬から降りて徒歩で戦うとある。武田の騎馬隊は、瞬時に戦場に駆けつけるだけ」「日本の村は、年貢を村単位で取り立てるので、共同体の規制が厳しくなる。」「日本は中華文明の辺境なので、中華という基準と照らし合わせて気にしていないといけない。常にアイデンティティの不安にさらされている」「アジア・アフリカの辺境や室町時代のほうが世界史的に普遍性をもっている。江戸時代という特殊な時代を経たのが今の日本。今生きている社会がすべてだと思わないでほしい。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 対談 歴史書 辺境 室町時代
感想投稿日 : 2019年7月6日
読了日 : 2019年7月6日
本棚登録日 : 2019年7月6日

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