WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う

  • 日本経済新聞出版 (2012年1月25日発売)
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感想 : 144
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様々なビジネス本や自己啓発本における根幹となる一冊であると感じた。
もっと早く出会えていればよかったと感じる1冊。

事実だけだはなく、生物学的観点から共通点を見出して解説してくれるため、非常にわかりやすく、納得度が高かった。
また様々な事例を出して<ゴールデンサークル>について解説していたため、より理解度が進んだと感じた。

私のバイブルとして持っておいて損がない一冊。そう感じた。




↓↓↓以下、要約↓↓↓
「WHYから始めよ」

偉大なるリーダーは人々に行動を起こすように奮起させる。つまり人々をインスパイアできる。インスパイアできるリーダーは、誘惑や脅迫といった手段を使わずに、人に目的意識や帰属意識を持たせる。真の意味でのリーダーがいれば、人々は短期の利益を上げたいからではなく、感激して勇気をもらったからこそ行動を起こす。
→自らの意思で、全体のために行動を起こす

では、こうしたリーダーの様に考え、行動し、コミュニケーションを図る方法を誰もが学べるとしたらどうだろう?それは行動を起こす理由、つまり理念を持つことである。つまりWHYから始めよ!

■操作(マニピュレーション)と鼓舞(インスピレーション)
人間の行動に影響を及ぼす方法は、マニピュレートするか、インスパイアするかである。
人をインスパイアするリーダーは全く同じ方法で行動し、コミュニケーションをとっている。それは<ゴールデンサークル>と命名した自然に起こるパターンに従っている。

<ゴールデンサークル>は、人間の行動には予測可能なものがあり、そこには理法があることを教えている。(=私たちがとっている行動の理由を知る手助けとなる)
<ゴールデンサークル>は最初に「なぜ?(WHY)」と自問することですべてを始めようと肝に銘じていれば、以前よりずっと大きなことを達成できるという動かしがたい証拠を示している。

<ゴールデンサークル>
WHAT:明確に説明できる結果(明確)
HOW:自分たちがしている方法(WHATよりも明確ではない)
WHY:自分がいましていること、している理由(WHY)。(=仕事でいえば、「お金を稼ぐため」という理由は含まれない。それは結果に過ぎない)
傑出したリーダーは、内側から外側(WHY →HOW →WHAT)へと考え、行動し、コミュニケーションをとっている。
人々はあなたのWHAT(していること・結果)を評価するのではない。あなたがそれをしている理由(WHY)を買う。
(前提があり、WHYがある。)

自社の製品の方が優れているという単純な主張は、それを裏付ける合理的な証拠の有無にかかわらず、欲望を生み出すことができるし、消費者に購入を決断させることができる。だが、忠誠心を生み出すことはできない。
一方で傑出したリーダーや企業は、強い忠誠心を相手に持たせることができる。それが理由である。
■「どこかに帰属していたい」という願望は、理性から生じるものではなく、どんな文化であろうと人間が持つ普遍的なものである。周囲の人たちと価値観や信条を共有していると感じられれば、自分は何かの一員だと思える。帰属意識を覚えられれば、人とのつながりを感じ、安心感を覚える。
何かの一員でありたいという自然の欲求があるからこそ、私たちは自分の仲間でないものを鋭敏に感じとる。
私たちは、自分の信念をきちんと表現できるリーダーに惹かれる。あなたも私たちの仲間なんですよ、あなたは特別な存在なんですよ、あなたは安全だし、ひとりぼっちじゃないんですよと感じさせるのも、インスパイアする能力の一つである。偉大なリーダーといわれる人たちはみな、心の中に忠誠心を芽生えさせる。

<ゴールデンサークル>の原理は、単なるコミュニケーションのモデルではない。この原理は、人類の行動の進化に深く根ざしている。それは生物学的だからである。
人間の脳を断面的にとらえればわかるが、ホモサピエンスの脳の中で、最も新しく出現した部分は、新皮質である。新皮質は<ゴールデンサークル>でいえば、WHATの部分に相当する。新皮質は、合理的で分析的な思考や言語機能をつかさどる。
脳の中央の二つの円の部分は、大脳辺縁系に相当する。大脳辺縁系は、信頼や忠誠心といった感情の機能をつかさどる。そしてまた行動や意思決定などの機能もつかさどるが、言語をつかさどる能力はない。
円の外側から内側に向かうコミュニケーションを図ると、最初に自分がしているWHATを説明することになる。すると事実や特徴など、複雑で大量な情報を相手に理解してもらうことはできるが、行動を起こすよう相手を駆り立てることはできない。
一方でWHYから(内側から外側)に向かう順でコミュニケーションをはかれば、相手の意思決定をつかさどる脳の部位に直接訴えかけることができる。そのあとで言語をつかさどる脳の部分に情報を伝えれば、感情による決定が合理的なものになる。
一つの決断を下しても、なぜその決断を下したのかという理由を言葉で説明することは難しい。意思決定をつかさどる脳の部位は、言語機能をつかさどっていないため、私たちは無理やり説明をくっつける(なので、世論調査や市場調査などは、信憑性が感じられないことがある)。
本当に選択した真の動機を掘り起こすことは難しい。それは人々に理由や動機が分かっていないからではなく、言葉で説明することが難しいからだ。意思決定能力と、決定を下した理由を説明する能力は、脳の異なる部位に存在しているのだから。
「直感による決断」は、円の中心から生じる。そこから生じた決断は、とても正しく感じられる。その意思決定は「心」が決断をくだすわけであるが、すべて大脳辺縁系で生じている。
直観による決断が正しく感じられるのは、意思決定をつかさどる脳の部位が感情もつかさどっているからだ。自分では心のおもむくままに行動したつもりでも、現実には大脳辺縁系で決定が下されている。
決断をはWHY=感情を起点にして生じている。そのあと、理由を論理的思考をつかさどる部位が言葉に置き換える。
心は感情をつかさどる大脳辺縁系をあらわし、頭脳は論理的思考や言語能力をつかさどる新皮質をあらわす。(英語では“hearts and minds”という言い回しがある。勝者はまず「心」で感じ、次に「頭脳」で考える)

<ゴールデンサークル>は、長期間、成功を収めるために必要なものを説明している。しかし長期にわたって物事を続けるには、たいてい投資が必要になり、短期・長期のコストもかかる。そのため、WHYを常に意識するよう指針を設けて、自分を厳しく律し、自分の価値観に真摯であり続けなければならない。

※言うことすべて、することすべてに、あなたの信条が反映されていなければならない。WHYは、ただの信条である。HOWは、その信条を理解するために起こす行動である。そしてWHATは、そうした行動の結果である = あなたが言うこと、することすべてがWHATである。
自分の信条を伝える唯一の方法は、言動である。そのため信条と言動に一貫性がなければ、あなたの信条は誰にも伝わらない。
自分が心から信じていることを言い、行動に移す。それがオーセンティシティ(本物)。


■確実性の三段階
決定を下す基盤として、合理的な理由しか並べられないとき、私たちが自信を持って言える最も高いレベルの言葉は「これが正しい決定だと思う」である。それは生物学的に正確といえる。というのも、私たちの脳は「考える」部位である新皮質を活発に動かしているからだ。新皮質で、私たちは思考を言語に変換する。
だが直観で決断すると、自分に言い聞かせることのできる最も高いレベルの自信は、「これが正しい決定であると感じる」になる。たとえ事実やデータを突き付けられても、同じこと。というのも、直観による決断は私たちの感情をつかさどる脳の部分でくだされているため、言語は関係ないからである。
正しいと感じる決断をくだすためには、WHYの力を理解しなければならない。WHYを言葉に置き換える能力は、決断をくだすまでの感情の流れをはっきりさせる。WHYがわかっていれば、「それが正しいとわかっている。」という、最も高いレベルの自信が持てるようになる。決断が正しいとと感じられるだけではなく、それが正しいとわかれば、論理的に整理し、やすやすと言葉に置き換えることができる。そうしてくだした決断は、完璧にバランスが取れている。論理的なWHATは、WHYという感情の証拠となる。直観による決断を駆り立てた感情をきちんと言葉で説明することができれば、自分のWHYを明確に述べることができれば、あなたは周囲の人に決断に至るまでの経緯をきちんと理解してもらえる。その決断に、事実やデータという後ろ盾があれば、鬼に金棒だ。(仮説から始めるやり方と同じか?)
WHATやHOWに精通していくと、成功したと感じる(例:業績が良くなる)。ところがその過程で、そもそもどうしてこれを始めたのかというWHYを忘れてしまうと、必ずWHATとWHYの乖離が起きる。
業績の大小にかかわらず、WHYを決して見失わない能力がある人は、私たちをインスパイアする。WHYを見失わず、だれもが正しい方向に向かって進むことができるように標石を設けることのできる人こそ、真のリーダーである。

■マーケティングの普遍の法則
イノベーターやアーリーアダプターに狙いを定めていれば、最終的には大衆がついてくる。
そのためにWHYから始める

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年4月23日
読了日 : 2020年4月23日
本棚登録日 : 2020年4月3日

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