ビジネスに役立つ「商売の日本史」講義 (PHPビジネス新書 158)

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  • PHP研究所 (2010年12月18日発売)
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アイルランド人は「ぼくらは海賊(バイキング)の末裔だからね」と誇らしく語るが、日本人にも室町時代から戦国時代にかけて、海賊(倭寇)が明と朝鮮の沿岸で「活躍」した。 日本人は海賊のマイナス面ばかりを考えるが、アイルランド人は海賊の冒険心、克己心、自由、積極性というプラス面を評価して誇りに思っているのである。

日本人は農耕民族でコツコツ型が多く、物静かで従順という自己イメージが強い。 しかし実は、日本人のDNAには、海洋民族の血、冒険者の血が流れている。

1300年前、大型モーターボート程度の小さな遣唐使船に100人近くの政府高官やエリート留学生を乗せて中国へ渡航した。その生還率は半分程度だったらしい。それでも、貧欲に世界の知恵、文化を学ぼうと、命を賭して、20回も遣唐使を中国に派遣した。 804年に空海と最澄の乗った4隻の遣唐使船のうち2席は沈没している。

長い歴史を俯瞰的にみれば、平安後期、源氏、鎌倉、江戸、戦後自民党の政治体制のときに農耕民族(ヤマヒコ)的な内向きの社会となるが、大和~平安前期、平家、室町、信長・豊臣、明治維新から戦前までは、海洋民族(ウミヒコ)的な外向きの社会に大きくスイングしている。 

その変化点は、大陸の影響を大きく受けるらしい。今の日本は極端な内向きな時代となっているが、中国がグローバル経済の中で存在感を増すにつれ、日本は再度外向きに大きくスイングして、本来の海洋民族的な力を発揮するようになるのではないか、という。 

また日本が外向きの社会に変化するとき、関東から西日本(大阪、兵庫、福岡)にパワーシフトが起こる歴史があるというのも元気がでる。

<EOM>

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: Business
感想投稿日 : 2012年10月13日
読了日 : 2012年10月13日
本棚登録日 : 2012年10月6日

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