エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2011年5月13日発売)
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本棚登録 : 198
感想 : 30
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読者への挑戦状も付いてて、久しぶりに血がたぎったんですが、うーん…これはちょっとアンフェアくさいぞ(笑)。

肝心のミステリーも「芸術蘊蓄」に比べると、地味さが際立って消化不良。脇役な筈の警部の灰汁が強すぎて、キャラは弱くない筈の主人公が霞んでしまったのも残念。
メフィスト作家の描く主人公って、どことなくステレオタイプだよなあ…。

ただ、各章の冒頭に差し込まれた《被害者が書いた評論》は面白かった。絵画に全く興味のない私でも、思わずネットで絵を検索しましたからね^^本編よりもこっち推しな作風で書けば、更に面白くなったかも。


※以下は《被害者が書いた評論》の要約・抜粋なので信憑性は保証できません^^;
※私が超気になったのでまとめてるだけですよ〜


●エコール・ド・パリ(1910〜20年代)
一人一派の絵画/明確な定義は不可能/蜂の巣《ラ・ルッシュ》という長屋に住み着いた外国人中心(キスリングはモンマルトル)/芸術家の実人生と芸術作品に対する評価の相関関係の考察


●アメディオ・モディリアーニ
不遇の天才(線の単純化・構図の不安定さのバランス)/詩人・画商の友人ズボロウスキーの援助/一度だけ開催された個展では一枚も売れず裸婦像が押収されただけ/最晩年に得た名声/貧窮の中で病に倒れる(享年35)/画商達は絵の高騰を見越して援助しなかったという説/絵のモデルで妻になったジャンヌは夫の死の二日後に自殺

●ハイム・スーチン
モディリアーニが認めた才能/毀誉褒貶が二分/不快感を与える作風/極貧/成功後も先鋭化する作風/ナチスから逃げ回り胃潰瘍で死亡

●ジュール・パスキン
乱痴気騒ぎを好むプレイボーイ/遊興費を稼ぐ為に画商好みの作品を濫作/個展前日に自殺

●キスリング
社交的な成功者

●モーリス・ユトリロ
幼少からの飲酒癖/治療の一環として絵筆を取る/詩的な街並みを切り取る天才/結婚後は周囲に言われるまま若い頃の作品を模写〜晩年の作品の評価低落

●藤田嗣治
おかっぱ頭にロイド眼鏡/隠れた努力家/乳白色の肌の色の秘密/戦意高揚の絵を手掛け、戦争責任を仲間達に追及されそうになり、画壇に失望した藤田はフランスに帰化



悲劇的な生涯を送った画家たちの絵に心を奪われ続けた有名画商が、密室で殺された。死の謎を解く鍵は、被害者の遺した美術書の中に潜んでいる!?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ├メフィスト作家
感想投稿日 : 2011年6月13日
読了日 : 2011年6月12日
本棚登録日 : 2011年6月12日

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