魔法の色を知っているか? What Color is the Magic? (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社 (2016年1月19日発売)
3.74
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感想 : 147
4

森作品最大の魅力は、キャラクタでも意味なしジョークでもなく、読者を突き放す冷徹な筆致だと思っています。ドMには堪らない、あの説明してくれない感じね←

いや、私めっちゃ真賀田四季信者だし、犀川先生×萌絵ちゃん推しですけど←←

そんなドSな森先生が講談社タイガからリリースを始めた最新シリーズ「Wシリーズ」って、そんな旧来のファン層のドツボにジャストミート(古)してきたキャラと世界観だと思うんです。

何が最高って、トータルリコールっぽいことしてるのに、何か全然大事に巻き込まれてる感を出さない主人公ハギリのクールすぎる語り口ですよ。

彼のことを、未来版の犀川先生と私は勝手に位置付けています。犀川先生なら、きっともうちょっと不謹慎な意味なしジョーク言ってくれると思うけど←

前作でも命を狙われても一貫してクールでしたが、今作も武装集団から逃れるという、中々ストレスフルな展開なのに、ハギリ先生といい彼を守るボディガード達といい、まあ取り乱しません。

徹頭徹尾、クールです。

バイオレンスな展開してるのに、本作からは硝煙や血の匂いはしません。

好き!!!!←←←

もうちょっと位、ドンパチ感とかワーキャー感あった方が、今シリーズが森作品デビューな方には優しいと思うんですが、そんな擬音語や擬態語出てきたら、私がガッカリなんで良しとします!

キャラ語りは、きりがないのでこれ位にして。

世界観感想いきます。

人類がその叡智でもって不老不死というテーマをある程度達成した時、その副作用のように突如、「子供が生まれない」という危機に直面した近未来が舞台です。

人類という種が初めて直面した「種の存続の危機」がどうして発生したのかという謎に対して、ハギリと少数の博士たちが出したアンサが、これもまた超絶にクール。

そのクールなアンサを「あ、それすごい、なるほどね、ふーん」って、めっさ簡単に受容するとこ、すっごい好き…(痺)。

ネタバレになるのでこれ以上は避けますが、こういうとこが超絶にクールなんです(2回目)。

あー…これこれ、私が森作品に求めてるのこれだよォ…(泣)。森先生の懐具合なんて、正直全然興味ないからこういうのもっとくださいよォ…(暴言)。

人間が移動すること(旅・観光)に価値を見出さなくなり、
人間と「人間のようなもの」の区別がなくなり、
人類存続の危機によって戦争が無くなり、
やがて文明が緩やかに停滞していく、

そんな近未来の描写が、非常にファンタジックかつリアリスティックに描かれています。無さそうで有りそうな未来。

そして、某シリーズを彷彿とさせる「ある場所」の登場は、既刊の某シリーズを読んでいる森ファンには堪りません。もうこのシリーズ、森ファンへのファンサービスなんじゃないかしら。

そして、ラストに登場する「彼女」がハギリに見せた風景の衝撃。

彼女は人類をどこに導こうとしているのでしょう。
かつて妃真加島で、Fというキーをトリガーに仕掛けた彼女が、彼女の技術を応用して生み出したウォーカロンに仕掛けた色の魔法の意図は一体何なんでしょう。



うーん…



好き!!!!←

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ├森博嗣
感想投稿日 : 2016年2月22日
読了日 : 2016年2月22日
本棚登録日 : 2016年2月22日

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