読書は格闘技

著者 :
  • 集英社 (2016年4月26日発売)
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本棚登録 : 766
感想 : 78
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エンジェル投資家として活動しながら、京都大学で産官学連携活動に従事していた著者の読書姿勢を扱った本。

「読書は格闘技」とは、単に受動的に読むのではなく「本当にそうなのか」と反証的に読む中で自分の考えを作っていく知的プロセスのことである。格闘技的に読むとは、著者と自分の考えを戦わせて考えを新たに形成していくことなので、リングの外から傍観するといった受け身の姿勢は許されないそうだ。つまり、自分もリングに上がり著者と格闘しなければならない。

本書では、(読書における)格闘の方法の一つとして対立軸を設定した読みを行っている。対立軸は、問題意識、背景、テーマなどで決定する。そして、それぞれの本の利点と欠点を整理し論点や課題を浮き彫りにすることで、批判的に読書を行っている。例えば、「心を掴む」というテーマでは『人を動かす』と『影響力の武器』を設定することで、人情vs統計データ、道徳的vs合理的など多様な切り口からこのテーマを深掘りしている。

著者のスタイルで読書することは、自分が批判的に考えることを要求するので、負荷がかかる。しかし、ただ単に知識を頭に入れるのではなく思考力を身につけるという目的で読むなら、この負荷は避けられない。それを再確認することができた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年12月2日
読了日 : 2021年11月24日
本棚登録日 : 2021年8月9日

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