原作ゲームはスーパーファミコンで発売され、本作品はリメイクされたプレイステーション版に併せて発行されたものです。
ゲーム版のプロットとほとんど同じですが、主人公は原作「弟切草」を手掛けた人物という設定が付加されているなど、内容はオリジナルのものになっています。
リメイク版の弟切草には「ザッピングシステム」というものが追加されましたが、これはとある場面で主人公とヒロインいずれかの視点を切り替えて物語を進めるというシステムになっています。
当作品は、そのザッピングシステムを意識してか、区切りごとに同じ場面で2人の視点がコロコロと入れ替わるような内容になっています。
しかしこのザッピングの再現が、物語が進んでいるのか進んでいないのかイマイチ掴めず、テンポを悪くしている要因になってしまっているように感じます。どうせなら区切りごとにどちらかの視点かが書いてあるともう少し読みやすかったかもしれません。
「ゲームとは違うオリジナルであり、しかしゲームそのものであり、知らない人が読んでも面白く、知った人が読むと更に面白い」そのコンセプトには非常に強い意志が感じられましたが、筆者としても消化不足だったのではないかと感じます。
原作の、ビジュアル化されたお化け屋敷のようなB級ホラー感は削ぎ落とされてしまい、小説では心理的な恐怖を入れようとした節もあるものの、うまくいかなかったように見えます。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年3月4日
- 読了日 : 2021年3月1日
- 本棚登録日 : 2021年3月1日
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