コンピュータvsプロ棋士: 名人に勝つ日はいつか (PHP新書 711)

著者 :
  • PHP研究所 (2011年1月1日発売)
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4

・2010年に複数のコンピュータをクラスタでつなげた「あらか」が清水市代女性王将に一発入れる。
・人間の現状把握能力を如何に定量化しコンピュータに認識させるかの戦いがここにはある。以下、読書メモ。
・ボナンザの特徴は
①全幅検索
②自動学習
③オープンソース
・ボナンザの特徴は全幅検索。人間は見ただけで経験と勘でどちらがいいのか判断できる場合があるが、コンピュータはできない。いずれの選択肢も同様に検討する必要があるが、従来のコンピュータはリソースの関係上これができず、一部の選択肢は「あくまでコンピュータ基準での」よさそうな手だけを読んでいた。ボナンザはこれをやめて、全幅検索ロジックを搭載した。
・ゲームはオセロ<チェス<将棋<囲碁の次に複雑になる。
可能な指しては「チェスで平均35」「将棋で平均80」「囲碁が平均250」となる。将棋は1局が100手を超えるので全てのパターンを読み切るのは不可能。全ての手を読み切る(ゲームを完全に解読する)のと強くなるのは異なる。
・コンピュータは先を読むのが得意。例えば人間がある方向性を示し、コンピュータがそれをシュミレートする。ただし、コンピュータの考え方(どのように考えるか)は理解しておかなければならない。
・将棋は完全情報ゲーム。正確には、二人零和有限完全情報ゲーム。偶然の要素が全くなく、全ての情報が等しくプレイヤーに開示されている。
・手を読むことと局面を評価することは異なる。
①手を読むこと。
 ・ミニマックス戦略(自分は自分の点数を最大にし、相手は逆に最小にする戦略)、アルファベータ戦略(考える必要のない選択肢は枝狩りする)
 ・人間であれば誘導したい局面があって、そこに向かうように手を指す(そうなのか!)が、コンピュータはとりあえず読んでみて最もよさそうなものを選択する。
 ・コンピュータの手にはコンテクスト(文脈)がない。左を攻めたと思ったら右に手を出したり。。
②局面評価する。
 ・例えば、銀の位置をポイント化する。駒得、手得のポイント化。ボナンザは約1万あるパラメータを自分自身でチューニングすることができる。
 ・序盤、中盤1、中盤2、終盤と4つの局面を持っている。序盤~中盤1は定石を、終盤は詰将棋モードになる。コンピュータは手を機械的に読むのは得意なため終盤戦は非常に強い。(1000手を超える詰将棋もあっさり解いてしまう)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 将棋
感想投稿日 : 2013年6月25日
読了日 : 2013年6月25日
本棚登録日 : 2013年6月25日

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