倭国の時代 (ちくま文庫 お 30-3)

著者 :
  • 筑摩書房 (2009年2月10日発売)
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感想 : 11
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中国史の先生が書いた日本古代史の本。1976年に出版された本の文庫版である。

○日本の古代史を世界史の視点から見る
○日本を作ったのは中国文化であり、華僑の進出が日本を国家たらしめた
○初代の倭国大王は仁徳天皇である
○大和朝廷というものは存在せず、河内(仁徳天皇の難波京)から大和へ王宮は移っていった

論旨明快で面白い。特に中国との関係なくして日本古代史は成立しないという論理には納得できる。
朝鮮文明も日本文明も中国文明無しでは成立しなかったのである。
ただ、理論の展開にアクが強すぎる嫌いがある。マレー年代記やその後のマレー半島の歴史を引き合いに出して、日本書紀の信憑性や日本の国家成立の過程を推測するのは説得力に欠けるように思う。殷王朝の国号「商」やその前王朝と言われる「夏」がどちらも商売に結びついているなどと言う話は、つい白川先生の字統などを引いてしまった(現在の意味は別として、もともとの漢字の意味では商売とは結びつかない)

77年に書かれた「倭国」の方が読みやすいかもしれません(内容的には大きく重なる)

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 古代史
感想投稿日 : 2009年3月1日
本棚登録日 : 2009年3月1日

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