舞台は1940年代ごろのアメリカ。若い作家であるところの主人公サル・パラダイスは、破天荒な青年ディーン・モリアーティとのイカれた自由な旅を続ける。旅から旅へ。ひとつところには落ち着けない。
ハイスピードで大陸を横断・縦断し、いたるところでらんちき騒ぎ。交通ルールは無視、車はとんでもない速度で飛ばす、ドラッグにはどんどん手を出す、あっちこっちでいろんな女といい仲になっては修羅場になる、盗む、賭事もやる……。
奔放、自由、楽しさ、そういう書評が目についたので、きっと躍動感あふれる楽しい小説なのだろうと思って読み始めたのですが、その予感は半分あたり、半分はずれました。
たしかに無軌道で、自由で、それから美しい情景がたくさんちりばめられていて、部分部分では読んでいてすごく楽しいんです。
けれど、彼らが幸福そうに見えるかといわれると、私の目には「クールでイカしている」というよりも、破滅的でいたましいように見えて。固定観念がじゃましているせいかもしれません。ドラッグの描写がやたらとでてくるというのもあるんですけど。
目の前にはどこまでも続く道があって、つまらない社会のルールには縛られず、やりたいことに飛びついて。そう並べると、とても楽しそうに聞こえるのに、主人公も旅や変人ばかりの友人たちについて、ひどく楽しそうに語っているのだけれども。なんでだろう、読めば読むほど、寂しくなるような……
パワーがあって、はっとするような描写があって、つまらなかったというのとは違うのですが。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文学全集
- 感想投稿日 : 2009年12月3日
- 読了日 : 2009年11月13日
- 本棚登録日 : 2009年11月13日
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