企業や役所は、もともと「機能体」として作られた組織だが、組織そのものに、「共同体」化していく契機が埋め込まれているというのは、その通り。下部組織含め、構成員の満足が目的となってしまう。マネジメントは、その揺らぎを感じつつ、「機能体」としての「強さ」を最大限発揮するようにすること(企業なら、最小のコストで最大の利益を上げること)。確かになぁ。
面白かったのは、組織を動かす上で欠かせない人と、その評価。
漢の劉邦の言葉から、組織を動かす上では、①現場のトップ(将軍)、②参謀、③補佐役の3種類の人が欠かせないとのこと。③補佐役は、なかなか思いつかない。
さらに、プロイセンのモルトケの法則を取り上げ、参謀として最も要職につけるべきは、「能力大にして意欲小」なる者としている。能力・意欲ともに大の者の方がよさそうな感じもするが、こういう人間は、どこかでトップと衝突する可能性がある。
わき道にそれるが、モルトケの法則で思い出すのは、エクヴォルト男爵/ドイツ国防軍上級大将の言葉。
将校には四つのタイプがある。利口・愚鈍、勤勉・怠慢である。
・利口で勤勉なタイプで、これは参謀将校にすべき
・愚鈍で怠慢なタイプで、これは軍人の9割にあてはまり、ルーチンワークに向いている。
・利口で怠慢なタイプは、高級指揮官に向いている。なぜなら確信と決断の際の図太さを持ち合わせているからだ。
・もっとも避けるべきは愚かで勤勉なタイプで、このような者にはいかなる責任ある立場も与えてはならない。
堺屋太一という人は、本当にスゴイ人だなぁと改めて思う。役所の中に、こういうことを考え、それを表現できる人がいたというのは驚き(今でもいるのだろうか・・・)。
- 感想投稿日 : 2021年2月12日
- 読了日 : 2021年2月12日
- 本棚登録日 : 2021年2月7日
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