習近平と中国の終焉 角川SSC新書

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  • 角川マガジンズ(角川グループパブリッシング) (2012年12月21日発売)
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中国の現代を描く。

■中国共産党が真に恐れているものは、今後もし中国が本格的な経済の失速段階を迎えた場合、人民の政治に対する失望と苛立ちが高まり、文化大革命のように全国的な激烈な運動となって共産党政権を襲うことを危惧している。 この事態を避ける方法は「民主化」しかない。
共産党は人民を恐れているのだ。

■「打黒唱紅」の衝撃
「打黒」とは、マフィア撲滅作戦のことである。中国におけるマフィアの黒幕というのは、党や地方政府の身内であったり、公安の大幹部であったりするため、当局は取り締まりに手加減を加えるのが通例であったが、薄は容赦なく徹底的に断行し、決定的な成果を上げた。このため、「格差」と「不公平=権力者の腐敗」を怨んでいた市民は大いに沸き立ち、溜飲を下げた。

「唱紅」とは、かつての革命ソングを皆で歌う運動を指している。これが「毛沢東時代は貧しかったが、皆、平等だった」と当時を懐かしむ大衆に人気を博し、全国に広がっていった。このことが文化大革命で酷い目に遭わされた共産党幹部たちに、もし文化大革命のような悪夢が再現されたらと、恐怖心を甦らせた。今や、格差と不公平に対する不満と怒りが、圧倒的多数の中国庶民の間で渦巻いている。発展から置き去りにされた者たちの怒りがいつ爆発してもおかしくない状況なのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 世界経済など
感想投稿日 : 2014年3月18日
読了日 : 2014年3月17日
本棚登録日 : 2014年3月18日

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