アトランティスのこころ 下巻 (新潮文庫 キ 3-26)

  • 新潮社 (2002年4月1日発売)
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本棚登録 : 314
感想 : 17
4

上巻では、ボビーと言う男の子が主人公の50年代アメリカのお話。
ボビーには心優しい男の子サリー,おませで見る目が鋭い女の子キャロルがという幼馴染が居て、その幼馴染のお陰で、毎日楽しい生活を送っていた。

ところが、父親の死によってすさんでいく母親との生活が徐々にボビーの心を不安定にしていく。そんな最中に、上の階に引っ越してきた老人テッド。

テッドは教養深く、ボビーに色々なことを教えてくれる。
でも、テッドの言動は変わっていて、何かに追われているのか、部屋からほとんど出ない。
そしていつもどこか遠くを見ている。そんな不自然な言動の多いテッドに不信感を募らせる母親。
そんな板ばさみになっても、心優しい老人テッドに父親像を見出して慕うボビー。

・・・

最後は、壮絶なエンディングを迎える上巻。これだけでも確かに読み応えある!


そして下巻・・・


下巻では、当初ボビーは出てこず、上巻で同じ少年時代を過ごした脇役のキャロルとサリーがクローズアップされています。
内容は、人物の過ごした時代毎にオムニバス。

60年代は、カードゲームに嵌って、大学を辞めさせられそうになる青年。でも、ベトナム戦争に行くのは真っ平ごめん。
何とか堕落した学園生活から抜け出したいと考えるが、仲間がそれを許してくれない。。

泥沼の学園生活で、唯一の心のよりどころは、アルバイト先で知り合った、大学生となったキャロル。
ところが、キャロルは、反戦運動に参加し、アカに染まって徐々に大学を離れていく。。

60年代後半は、ベトナム戦争の傷で盲目になった男の、複雑な心理と、荒んだアメリカ社会。
そんな盲目の男は、少年時代にキャロルをバットで殴ってリンチしたことをずっと悔やんでいた。

90年代は、ボビーキャロルの幼馴染みだった、サリーが主役。
サリーはベトナム戦争で戦地に自ら赴き、名誉の負傷をしたものの、戦地で滅ぼした村の村人の霊に精神を蝕まれていく。
キャロルとはハイスクール時代恋人同士だったが、大学にキャロルが進んだことによって自然消滅。
心にしこりを残したまま戦争へそして戦争が終わり、後遺症と戦いながらの毎日。。
最後の2000年。
60代になったボビーが最後に主役に返り咲き。
幼少時代を過ごした町に戻り、幼馴染みと、当時心の支えとなった隣人の老人テッドに思いを馳せる。最後は心が温かくハッピーエンドです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファンタジー
感想投稿日 : 2012年2月20日
読了日 : 2009年11月19日
本棚登録日 : 2012年2月20日

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