プロチチ(2) (イブニングKC)

著者 :
  • 講談社 (2012年10月23日発売)
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本棚登録 : 148
感想 : 14
5

一人息子太郎君の一歳のお誕生日。奥さんの花歩さんに育児を通じた成長を認められたアスペルガーのプロチチ直は、専業主夫から一歩踏みだし、仕事に復帰しようと模索を始めます。

一巻では「赤ちゃんと一緒にいる」ことで、一度は疎外された社会に再び受け入れられた直ですが、今度は仕事への復帰というさらに高いハードルに挑みます。

という内容ではありますが、この巻での直は恵まれすぎです。
復帰した職場はアスペルガーの特徴を発揮しつつ、なおかつ読書という直の趣味が生かせる書店ですし、職場の上司(書店の店長)と同僚は、奥さんの花歩さんと同様、直の性格とその長所短所にとても理解があります。

この巻でも直のアスペルガー的なエピソードがたくさん語られます。でも、そんな温かい職場ですから、それらのエピソードは、一巻で語られたような、アスペルガー当事者が原作を書いたのではないかと思わせるような生々しいものではなく、どちらかと言えば教科書的です。

「教科書的」な展開が増えるにつけ、生々しさに欠けるが故のつまらなさのみならず、説教臭さが増してくるのではないかと、ちょっと心配になります。
『フルタイムで夜遅くまで働く「母」と子供を保育所に預けてアルバイトをする「父」、ジェンダーを入れ替えてみたら今の日本の働き方が抱える問題点が…』なんてことが帯に書かれるようになってしまったら、この作品はもう胡散臭くて読めたものではなくなります。ここまで直のアスペルガー的言動に大きくうなずきながら楽しんできたのに、三巻以降がそんな展開になってしまわないよう、切実にお願いします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 逢坂みえこ
感想投稿日 : 2015年1月9日
読了日 : 2014年10月26日
本棚登録日 : 2014年5月19日

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