コウノドリ(6) (モーニング KC)

著者 :
  • 講談社 (2014年9月22日発売)
4.10
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本棚登録 : 723
感想 : 35
5

テレビドラマ化もされた人気シリーズの第6巻。
先日HDDの空き容量を確保しようと溜また録画を見直していたら、かつて録画したドラマの「コウノドリ」がすべて残っていることを発見しました。
…どうしよう、時間がないのに見返してみたい…。

このシリーズでは、産科を舞台に、妊娠出産を巡る悲喜劇と、主人公サクラ先生を中心とした群像劇が、綿密な取材に基づく圧倒的なリアリティと現場感を伴って語られます。

この巻には「子宮外妊娠」「性感染症」「口唇口蓋裂」「乳児院」の4編が掲載されています。

作者が描きなれてきたからか、絵柄が安定して洗練されてきました。メインキャラクターと主要なサブキャラクターが出揃い、舞台になっている聖ペルソナ総合医療センターの雰囲気も描きこまれ、さらにこの巻では四宮サクラ両先生のエピソードが語られ、また、これまで各エピソード限りで登場したキャラクターが再出演したりして、群像劇は深みを増します。
もともと、この「コウノドリ」を知ったのは確か2015年7月17日(←今検索したら出てきましたw)のNHK「あさイチ」で紹介されたから。その後TVドラマの2シーズン目終了あたりまでは話題になることも多く、ノリに乗っていた感じです。
いや、ここ最近出版されたコミックスがつまらなくなったわけではありませんが、でも四宮先生が抜けた穴は大きい…。


以下、各エピソードに一言ずつ。

「子宮外妊娠」
下屋先生エピソードです。
恥ずかしながら、「切迫流産」と同様、言葉は聴いたことがあるものの実態をまったく知らなかった「子宮外妊娠」。
こんなに怖いものだったのですね。
「妊娠」という言葉がつくからか、即手術をしないと生命の危険があるほどのものだなんて思いもよりませんでした。登場人物と本当に同じ。卵管から子宮に移植できないの?って思っちゃうのも同じ。

下屋先生の言う「子宮外妊娠は妊娠じゃなくて病気」という言葉は頭ではわかりつつ、全身麻酔されながら「眠ったら赤ちゃんがいなくなっちゃう」とお母さんが涙を流す気持ちも痛いほどよくわかります。

患者に感情的になったことに反省の弁を述べる下屋先生に、事も無げに「いいんじゃないの?友達なんでしょ?」って言えるサクラ先生がとにかく素敵です。

「性感染症」
1巻で「淋病」が扱われていましたが、今回はクラミジア。エピソード的にはほぼ同じです。拾ってきた旦那は、淋病のときはあっさり白状しましたが、今回の旦那は性質悪いです。
あと、夫婦の修羅場に居合わせなければならない我が身を嘆く下屋先生がお気の毒。ついでに、せっかくのベイビーの演奏聞き逃しちゃってこっちもお気の毒。

「口唇口蓋裂」
四宮先生回。
口唇口蓋裂については知識としては知っています。知り合いにきれいに治った人もいます(何やらキャンペーンガールみたいなのやってたしw)。「口唇口蓋裂ちゃん、育ててます」ってコミックエッセイも読んでます。
でも、初めて聞いたときのショック、治療しながらの育児の大変さについては「読んで知っている」だけ。
現場で診断し、ご両親、そして口唇口蓋列の赤ちゃんと向き合っている先生方の心労は大きいのだろうと思います。
「元気に生まれてくるんだから」と表面上は冷たくあしらっているように見える四宮先生ですが、実はきちんと産後の治療のフォローまで手を回しています。お母さんにばれたときに見せる「アハッ」の可愛らしさよ。

それにしても、四宮先生、よく6年間苦しさと向き合い続けました。
なお、つぼみちゃんは2巻~3巻にかけて登場した喫煙妊婦の娘さん。右手にいつもウルトラマンの人形を握っていたお兄ちゃんは大きくなっていました。小1→中1くらいのイメージでしょうか。6年間ってそんな年月です。
読み聞かせた本はどれくらいになったのでしょうか。

ちなみに、四宮先生がつぼみちゃんに読み聞かせていたのは「しんせつなともだち」。

「乳児院」
サクラ先生回。
第1巻冒頭の野良妊婦の娘さんがいる乳児院は、かつてサクラ先生が育ったところでした。
サクラ先生はそこで「お母さん」と再会します。
まだまだ語られていない過去はたくさんありますが、サクラ先生の人となりの一端を垣間見ることができました。喘息治ってよかったね。そして、早く「パパ」になってくれる人と出会えるといいね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 鈴ノ木ユウ
感想投稿日 : 2019年8月28日
読了日 : 2019年8月28日
本棚登録日 : 2019年6月6日

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