ラブ・ジャンキー: 日本発タイ行性の直行便

著者 :
  • 集英社 (1992年11月1日発売)
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感想 : 3
4

著者の目的がわからないけれど兎も角勇敢な人であるらしい
アメリカ人と結婚し女の子がいながらも
東京で暮らしてドキュメント本を書くという厳しい暮らしを
あえて選択している人でもある

内容は中立的立場を貫こうとしているようで
読みやすい上に誰のことも避難せずに存在を認めて観察している
それにしても
この悲しい状態の歓楽街に迷い込んでいる人々の
誰もが被害者にしか見えない
だとすれば加害者はどこにいるのだろうか?

大きなウネリが心に沸き上がってくる

勿論そこにはあまりにも醜く暴力的に破壊された地域と
奪い続けなければ生きていけない国とのせめぎあいがある
そこだけを見れば破壊者が悪者で破壊されている側が被害者だといえる
しかし一歩引いてみると共に依存で生き延びているに過ぎない
悲しく哀れな状態である

この依存の渦巻からどこに抜け出す道を見いだせるのか?
支配と従属という依存関係である底無しにしか見えない蟻地獄を
誰が創りだしてしまったのか?
欲という概念を強くしたのは栽培なのか貨幣なのか金融なのか
貯蔵技術と並行して損得感も大きくなり法を操る騙し合いが育つ
長い時間をへた過去を振り返っても堂々巡りであるが

この競争社会は相対世界であるこの世に
支配という絶対の一成る答えを持ち込んだことから
始まっているようにしか私には思えない

「旅の恥はかき捨て」だけでもない
自分の足を食べているような得体のしれない追いやられた開き直りと
そのいらだたしさから逃げ出したい心の逆相乗効果による
爆発なのかもしれない
そこには弱いものがより弱いものをイジメルという
泥沼があり
その大元は共食いであり共倒れであり自爆という
マイナス思考に陥っている暗闇が有りそうだ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ドキュメント
感想投稿日 : 2012年2月20日
読了日 : 2012年9月15日
本棚登録日 : 2012年2月20日

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