『成熟脳』(著:黒川伊保子)
付箋部分を抜粋します
・無駄なものを捨てていくのが、脳の最大のテーマであることも(p7)
・たぶん、人工知能と共棲する時代に、人がすることは、案じたり察したり発見したりすることに
集約されるのじゃないかしら。だとしたら、人間の価値が変わってくるに違いない。少なくとも、偏差値信仰は
消えてなくなる。人口知能、万歳、である(p37)
・それほど、人が心を込める、という動作にはパワーがあるのである。私たちの脳は、潜在意識下で百万分の一秒を感知し、
フォトン一つにも反応する。想像を絶する精度で、周囲を認知しているのである。おそらく、目の前の人の鼓動や
血液の脈動、呼吸のリズムなどを感知している(p82)
・生きることの意味は、年を重ねれば、ことばではなく直感で、腹に落ちてくるものだったのだ(p90)
・端的に言うと、ヒトは三歳で人になり、十四歳でおとなになるってことだ(p106)
・脳の出力性能がピークに達するのは五十六歳。健康でさえあれば、ここから八十四歳までが、「ヒトの脳が最も使える時期」
に当たる(p113)
・四十九歳。ヒトは、生殖のために生きてきた人生を、別の人生に切り替えるのである(p124)
・つまり、失敗の数だけ、人は、失敗しにくく、判断に迷わなくなる。失敗が心に痛いほど、取り返しがつかないほど
脳への学習効果は大きい。失敗は、脳をよくするために、人生で最も有効な入力なのである(p128)
・ただし、失敗を他人のせいにする人は、その失敗を脳に反映することができない。せっかく痛い思いをしたのに、脳が
失敗だと認知しないからだ。失敗は、他人のせいにしてはいけない。もったいなさすぎる(p129)
・長く生きること。たくさん泣くこと、転んで傷ついて立ち上がること。それだけが、脳を熟成させる。つまり
人生そのものである(p144)
・五十六歳まで生きて、人生の達人にならない人はいない。中には、あまり周りに威張れない達人、たとえば卑屈の達人や
何もしないことの達人もいるけれど、脳は、世間でいう「いい人、気高い人」のありようなんて知ったことじゃないからね。
繰り返してきたことの、達人域に入るだけだ(p145)
・九十代現役の大学の先輩は、こうおっしゃった。「八十くらいまでは、この世をカーテンの向こうにみているようなもの。
八十半ばを過ぎると、カーテンが開くのよ。お楽しみに」(p156)
・ヒトは、脳のゴールを知っていて、そのゴールに合わせて、自分の脳や体を、静かに折りたたんでいくように思える(p158)
・夫婦とは、面白い縁である。
大切なのに、鬱陶しい。五十五年も一緒にいて、大事なことを伝えそびれる(p209)
- 感想投稿日 : 2020年10月24日
- 読了日 : 2020年10月24日
- 本棚登録日 : 2020年10月24日
みんなの感想をみる