成熟脳: 脳の本番は56歳から始まる (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2017年12月25日発売)
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感想 : 31

『成熟脳』(著:黒川伊保子)


付箋部分を抜粋します


・無駄なものを捨てていくのが、脳の最大のテーマであることも(p7)

・たぶん、人工知能と共棲する時代に、人がすることは、案じたり察したり発見したりすることに
 集約されるのじゃないかしら。だとしたら、人間の価値が変わってくるに違いない。少なくとも、偏差値信仰は
 消えてなくなる。人口知能、万歳、である(p37)

・それほど、人が心を込める、という動作にはパワーがあるのである。私たちの脳は、潜在意識下で百万分の一秒を感知し、
 フォトン一つにも反応する。想像を絶する精度で、周囲を認知しているのである。おそらく、目の前の人の鼓動や
 血液の脈動、呼吸のリズムなどを感知している(p82)

・生きることの意味は、年を重ねれば、ことばではなく直感で、腹に落ちてくるものだったのだ(p90)

・端的に言うと、ヒトは三歳で人になり、十四歳でおとなになるってことだ(p106)

・脳の出力性能がピークに達するのは五十六歳。健康でさえあれば、ここから八十四歳までが、「ヒトの脳が最も使える時期」
 に当たる(p113)

・四十九歳。ヒトは、生殖のために生きてきた人生を、別の人生に切り替えるのである(p124)

・つまり、失敗の数だけ、人は、失敗しにくく、判断に迷わなくなる。失敗が心に痛いほど、取り返しがつかないほど
 脳への学習効果は大きい。失敗は、脳をよくするために、人生で最も有効な入力なのである(p128)

・ただし、失敗を他人のせいにする人は、その失敗を脳に反映することができない。せっかく痛い思いをしたのに、脳が
 失敗だと認知しないからだ。失敗は、他人のせいにしてはいけない。もったいなさすぎる(p129)

・長く生きること。たくさん泣くこと、転んで傷ついて立ち上がること。それだけが、脳を熟成させる。つまり
 人生そのものである(p144)

・五十六歳まで生きて、人生の達人にならない人はいない。中には、あまり周りに威張れない達人、たとえば卑屈の達人や
 何もしないことの達人もいるけれど、脳は、世間でいう「いい人、気高い人」のありようなんて知ったことじゃないからね。
 繰り返してきたことの、達人域に入るだけだ(p145)

・九十代現役の大学の先輩は、こうおっしゃった。「八十くらいまでは、この世をカーテンの向こうにみているようなもの。
 八十半ばを過ぎると、カーテンが開くのよ。お楽しみに」(p156)

・ヒトは、脳のゴールを知っていて、そのゴールに合わせて、自分の脳や体を、静かに折りたたんでいくように思える(p158)

・夫婦とは、面白い縁である。
 大切なのに、鬱陶しい。五十五年も一緒にいて、大事なことを伝えそびれる(p209)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月24日
読了日 : 2020年10月24日
本棚登録日 : 2020年10月24日

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