罪を犯した咲という少女のの心理は捉えどころがない。そのため、最終的に罪を償う心理に至っているのかさえ描かれないし、被害者の父にとっても、この罪に対して少女がどうしてくれればいいのか、答えを持ち合わせていない、それがまさに余白なのだろうか。そしてその余白は、父の同僚であり発達障害を抱える早苗によって、心理的な理解や支えを超えた、日々を事実のままに生きる姿によって埋められていく。この点が単純な少女間のカースト意識だけによる事件ではなく、心と心の微妙なズレ・違いとしての物語性を高めているように思う。
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- 感想投稿日 : 2023年2月8日
- 読了日 : 2023年2月8日
- 本棚登録日 : 2022年12月26日
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