『自分で漕いだ分だけ、額に汗を流した分だけ自らを遠くに連れていってくれる自転車に、彼は何を感じていたろうか。』
自転車ツーキニストの端くれたる私が興味を持たないはずがない.
もっとも最近は徒歩通勤を心がけているのだが….
著者はなんと(?)TBSのディレクターである.
自転車通勤をしている,テレビ局での方なのである.
私のイメージかもしれないが,何となく「自転車通勤」と「業界人」とが結びつかない.
だったら自転車通勤の似合う業種は何だと問われれば,簡単に答えに詰まってしまうのだが….
この本は著者のエッセイ集であり,時世を自転車と絡め語らうというものである.
なので話題は様々な方向に散らばっているのだが,私が全体に感じたのは「地に足をついて生きる」事の大切さを問うているように思えた.
例えば,冒頭の「彼」は実はホリエモンの事なのである.
ホリエモンは高校時代,自転車で15Kmかけて通学をしていたそうである.
六本木ヒルズで,(当時と比べ)太ったホリエモンを見て,「彼」に問いかけている.
仕事観で言えば自転車界の世界的企業でありシマノには,根っからの自転車好きが寄り集まっているという.
自転車に乗ること,そして自転車そのものが好き,という事が高じてシマノに就職した人が多いそうで,オリンピック選手なんかもたくさんいるそうである.
ダイバーシティとかワークライフバランスとか,便利な言葉がたくさんある.
仲間内で業を営む事を望む人もいるだろうし,プライベートを犠牲にしても注力したい趣味を仕事にする人もいると思う.
便利な言葉が熱意を削ぐとは思わないけど,ホリエモンの仕事観と自転車好きなシマノ社員の仕事観は全く別だと思う.
と,客観的にはそう思えるものの,どこに仕事観を見出すべきなのか,管理部門で働く私には,残念ながらまだギモンである.
サラリーマンって難しい….
- 感想投稿日 : 2012年6月19日
- 読了日 : 2011年8月7日
- 本棚登録日 : 2012年6月19日
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